Q:離婚にかかる費用とは?
離婚にかかる費用について具体的に知っておくことは、離婚協議書を作成する際に非常に重要です。離婚協議書は、夫婦間での合意内容を正式に書面にまとめたもので、特に財産分与や慰謝料、養育費、親権などの重要事項について記載します。協議書に載せる内容は、今後のトラブルを防ぐために非常に重要です。
1. 協議離婚の費用
協議離婚は、基本的に家庭裁判所を通さずに夫婦間で合意し、役所に届出をするため、最も低コストで進められる方法です。主に以下の費用が考えられます。
- 役所への届出費用: 協議離婚の場合、基本的には届出だけで手続きが完了するため、役所での手数料はかかりません。ただし、もし協議離婚証書を作成する場合や公証役場で公正証書を作成する場合には、証書作成費用が発生します。
- 公証人役場での公正証書作成費用: 離婚協議書を公正証書にしておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。公証人役場で協議書を公正証書として作成する場合の手数料は、書類の内容や金額により異なりますが、概ね以下の費用がかかります。
- 公正証書作成手数料:数千円から数万円(具体的な金額は財産の額などによって変動)
2. 調停離婚の費用
調停離婚では、家庭裁判所を通して調停を行います。調停手続きにはいくつかの費用がかかります。
- 家庭裁判所に支払う費用(収入印紙や郵便切手):
- 調停申立費用:収入印紙(数百円〜千円程度)
- 郵便切手:数百円程度(申立書類を提出する際に使用)
- これらの費用は調停を申し立てる側が負担しますが、費用負担については協議によって分けることも可能です。
- 弁護士費用: 調停で弁護士を代理人として立てる場合、弁護士費用が発生します。弁護士費用は、依頼する弁護士の料金体系や案件の難易度によって異なりますが、一般的に以下のような費用がかかります。
- 初回相談料:1時間〜2時間程度の相談で、5,000円〜1万円程度
- 調停手続きの代理人として依頼する場合:10万円〜30万円程度(調停回数や内容によって変動)
3. 裁判離婚の費用
裁判離婚は、調停が不調に終わった場合に進められる手続きで、最も費用がかかる場合があります。裁判では以下の費用が発生します。
- 訴訟費用(裁判所に支払う費用):
- 訴状提出に際して収入印紙を支払う必要があります。訴額に応じて金額が変動しますが、基本的に数千円〜数万円程度の収入印紙が必要です。
- 例:訴額50万円の場合、収入印紙は約2,500円程度。
- その他、裁判に関する郵便切手代なども必要です。
- 弁護士費用: 裁判の場合も弁護士を雇うことが多いため、弁護士費用が大きな負担となります。弁護士費用は、一般的に以下のような形で請求されます。
- 着手金(裁判を起こすための初期費用):20万円〜50万円程度
- 成功報酬(勝訴した場合の報酬):得られた利益に応じて数十万円〜数百万円
4. 財産分与・慰謝料
離婚時に財産分与や慰謝料が発生する場合、それに関する費用や金額も協議書に明記する必要があります。これらは合意の上で決定しますが、もし争いがあれば調停や裁判で解決を図ります。
- 財産分与: 財産分与の額は、夫婦の共有財産の分割方法によります。財産分与の合意内容を協議書に記載する際は、どの財産を分けるか、どのように分けるかを明確に記載します。
- 慰謝料: 慰謝料は、離婚の原因に応じて発生します。特に不倫や暴力が原因の場合、慰謝料が発生することがあります。慰謝料の金額についても、協議で合意し、協議書に明記することが重要です。
- 養育費: 子どもがいる場合、養育費についても合意し、協議書に記載します。養育費は月額で支払う形が一般的ですが、その金額や支払期間を記載します。
5. 協議書に記載すべき費用
離婚協議書に記載する内容は、次のような項目が基本的です。
- 財産分与の内容
- 慰謝料の金額と支払い方法
- 養育費の金額と支払い方法
- 親権、面会交流に関する取り決め
- 離婚後の姓の変更について
これらの費用や取り決めは、双方が合意の上で記載し、署名・捺印をしておくことが重要です。将来的なトラブルを避けるために、公正証書にしておくこともおすすめです。
協議離婚、調停離婚、裁判離婚いずれの場合でも、費用や金銭的な取り決めについては明確にしておくことが必要です。専門家(弁護士など)に相談しながら進めると、より安心です。