Q:慰謝料はどういう場合に請求できる?
離婚時に慰謝料を請求できる場合は、主に配偶者の行為や態度によって「不法行為」や「不正義な行為」があったときです。慰謝料は、精神的な苦痛や損害を補償するために請求されるものであり、通常は一方が不正な行為をした場合にその責任を問う形で発生します。
1. 不貞行為(不倫)
配偶者が不倫をした場合、不貞行為が原因で離婚に至った場合、慰謝料を請求することができます。たとえば、夫が妻以外の女性と不倫していた場合や、妻が夫以外の男性と不倫していた場合です。
慰謝料請求の理由:
- 不倫が原因で結婚生活が破綻した場合
- 不倫相手に対しても慰謝料を請求できることがある(「不貞行為の相手」への慰謝料請求)
2. 暴力(家庭内暴力/DV)
配偶者から身体的または精神的暴力を受けた場合、特に家庭内暴力(DV)が原因で離婚した場合、慰謝料を請求することができます。暴力を受けたことによる心的外傷や恐怖、精神的苦痛に対して補償を求めることができます。
慰謝料請求の理由:
- 身体的な暴力(殴る、蹴るなど)
- 精神的な虐待(侮辱、脅迫、無視など)
- DVが原因で離婚した場合
3. 精神的虐待・精神的苦痛
配偶者が言葉や行動で精神的な虐待を繰り返し、心的外傷を受けた場合も慰謝料を請求することができます。例えば、過度の侮辱や無視、脅しなどです。
慰謝料請求の理由:
- 精神的に追い詰めるような言動(侮辱、脅迫、無視、激しい批判など)
- 態度や行動によって精神的なダメージを受けた場合
4. 悪意の遺棄
配偶者が家計を無視して生活費を渡さなかったり、家庭の維持を放棄して家庭を支える義務を果たさなかった場合も慰謝料請求の対象になります。これは「悪意の遺棄」と呼ばれます。
慰謝料請求の理由:
- 家計の無視、生活費を渡さない
- 生活に必要な支援を怠り、家庭を放置した
- 共同生活を維持する義務を果たさなかった
5. 嘘や隠し事(財産隠し、経済的な不正行為)
結婚生活中に配偶者が重大な隠し事をしていた場合(例:秘密裏に財産を隠していた、借金をしていたなど)、その行為に対して慰謝料を請求できる場合があります。
慰謝料請求の理由:
- 配偶者が大きな隠し財産を持っていた場合
- 財産を不正に隠蔽していた場合
- 経済的に隠れた不正行為(借金や隠し財産など)による生活への影響
6. 婚姻を維持する意思がない場合(結婚生活の放棄)
配偶者が婚姻を続ける意思を示さず、家庭生活を維持しない場合(例えば、家に帰らない、家庭のことを全く気にしないなど)も慰謝料を請求できる場合があります。これは「婚姻の義務を怠った」とされることがあります。
慰謝料請求の理由:
- 配偶者が家庭に帰らない、または無視している場合
- 配偶者が家庭の維持や子どもの面倒を見ない場合
7. 虚偽の告訴や名誉毀損
片方の配偶者が虚偽の告訴をしたり、名誉を傷つけるような行為をした場合、その行為が原因で離婚に至った場合も慰謝料請求の対象となることがあります。
慰謝料請求の理由:
- 虚偽の告訴(警察に無実の罪をかける)
- 名誉毀損行為(社会的信用を傷つけるような発言や行動)
8. その他の重大な不正行為
上記以外にも、配偶者の行動が不正であり、その結果として精神的な苦痛を受けた場合、慰謝料を請求することができます。
慰謝料請求の際の注意点
慰謝料を請求する際には、証拠が重要です。証拠がないと、慰謝料請求が認められにくくなることがあります。例えば、不倫の場合は証拠(メール、写真、目撃証言など)を集め、暴力や精神的虐待の場合は診断書や証言が重要です。
また、慰謝料は慰謝料請求の原因となった行為に対してのみ請求できます。お互いに責任がある場合や、双方が一部責任を負う場合(たとえば、双方に不倫があった場合など)は、慰謝料の額が減額されることがあります。